二次形式とは
変数に関する次数が2の同時多項式であること。
二変数関数の二次形式
二変数関数である二元二次形式は、変数がx,y、係数がa,b,cとすると
f(x,y)=ax2+bxy+cy2
の形で表される。
逆に次の2つの関数は二次形式ではない。
x2+2y2+3xy+4x 5x2+6xy+7 第一式には一次式4xが含まれているため、二次式には定数7が含まれているため、各式は二次形式ではない。
ベクトルと行列を用いた表現
二次形式は、ベクトルと行列を用いて、
qA(x1,…,xn)=i=1∑nj=1∑naijxixj=xTAx
と表される。
行列Aは必ず対称行列になる。
二元二次形式
q(x,y)=ax2+bxy+cy2=(xy)(a2b2bc)(xy)=xTAx
また
x=(xy),A=(a2b2bc)
である。
一般化された行列 A
n×n行列Aの各要素は
Aij={aii2aij+ajiif i=jif i=j,(i,j=1,2,⋯,n)
と表される。
標準形
ax2+cy2のように各変数の 2 乗の項のみで構成される二次形式を標準形という。
ある二次形式を標準形に直すことを標準化という。
求め方
- 二次形式をxTAxの形で表す
- 対称行列Aを直交行列Pを用いてP−1APと対角化する
- x′=P−1xと変数変換する
- 標準形λ1x1′2+⋯+λnxn′2を得る。このときの係数は行列Aの固有値になる
xAx の形で表す
二次形式
f(x,y)=ax2+bxy+cy2
が与えられたとき、xTAxの形を用いると、
f(x,y)=(xy)(a2b2bc)(xy)
と表される。
Aの固有方程式
∣A−λE∣=(a−λ2b2bc−λ)=(a−λ)(c−λ)−4b2=λ2−(a+c)λ+ac−4b2=0
より、固有値は
λ1=2(a+c)+(a−c)2+b2,λ2=2(a+c)−(a−c)2+b2
である。
具体例
f(x,y)=x2+4xy+4y2
が与えられたとき
- λ1=0のとき
(A−λ1E)x1=(1224)x1=0x1=k1(−21)
大きさを一に正規化したベクトルは
p1=51(−21)
- λ1=5のとき
(A−λ2E)x2=(−422−1)x2=0x2=k2(12)
大きさを一に正規化したベクトルは
p2=51(12)
ここでp1,p2が直交するため、正規直交基底である。
よって、直交行列Pは
P=51(−2112)
直交行列Pを用いて
P−1AP=PTAP=51 (−2112)(1224)51(−2112)=(0005)
と対角化される。
ここで
(xy)=P(x′y′)
よって標準形は
f(x,y)=x2+4xy+4y2=(x′ y′)P−1AP(x′y′)=(x′ y′)(0005)(x′y′)=5y′2